幹細胞治療(幹細胞点滴)
傷ついた神経回路や組織の修復には、
幹細胞を何万倍にも培養し患部に補給する“再生医療”が必要です。
幹細胞は年を重ねるごとに減少。自己修復能力も低下していきます。
人体を構成する細胞は様々な幹細胞から分化してできたものです。そのため傷ついた神経回路や組織を元の状態に戻すには、血管や神経を再生する幹細胞が必要です。しかし幹細胞は年齢と共に減少していき、10代でも新生児の1/10ほど。80代になると1/200以下にまで数を減らします。
幹細胞(間葉系幹細胞)による再生医療
間葉系幹細胞というのは、ヒトが持つ幹細胞のひとつでMSC(mesenchymal stem cell)とも呼ばれています。間葉系幹細胞は体性幹細胞の一つで、人の骨髄・脂肪・皮膚・臍帯・滑膜(関節の周囲組織)など体内の様々な部分に存在しています。
特徴は骨・軟骨・脂肪等・血球をはじめ、組織細胞(肝細胞、神経細胞等)と多様に分化できる細胞と定義されています。体内の部分によって、間葉系幹細胞の性質や特性が少し異なるのですが多様な細胞に分化できる「間葉系幹細胞」が今注目されています。
その中でも骨髄由来間葉系幹細胞は、研究の歴史は古く、特に各種神経損傷モデル(脳卒中、脊髄損傷など) に対する治療効果では、人における臨床研究でも多数報告されております。
安全面・倫理面の問題が少なく、30年以上の実績がある治療です。
幹細胞の中には、体性幹細胞の他に多能性幹細胞(万能細胞)と呼ばれるiPS細胞とES細胞があります。iPS細胞は血液など簡単に採取できる細胞に、細胞を初期化する遺伝子を導入したもの。ES細胞は受精卵の初期胚から様々な細胞に分化する能力を持った細胞を分離したものです。これらは際限なく増殖するため、腫瘍化する懸念が指摘されています。またES細胞は受精卵を犠牲にしており、生命倫理の観点からも問題があります。対して体性幹細胞は安全面・倫理面、どちらもクリアしており、なおかつ30年以上にわたり臨床で使用されてきた実績があります。
骨髄由来の幹細胞のほか、脂肪組織からの採取も選択可能
脊椎損傷、脳卒中などの神経再生医療に使用する幹細胞は主に骨髄から採取しています。骨髄穿刺等の施術をご負担に感じられる場合は脂肪細胞からの採取も選択できますが、脂肪由来の幹細胞は神経細胞に分化しにくいという研究結果も報告されています。脊髄損傷の治療薬として厚生労働省の許可を受けている薬剤では骨髄由来の間葉系幹細胞が使われていることからも、骨髄由来の方が信頼性が高いといえるでしょう。また当クリニックは骨髄由来の間葉系幹細胞による再生医療の基盤特許を取得していることもあり、安心して骨髄由来の幹細胞治療を受けていただけます。
また、慢性疼痛および身体の加齢変化に対する再生医療では、脂肪採取による脂肪組織由来の間葉系幹細胞を用いた治療を実施しています。
当クリニックの幹細胞治療(幹細胞点滴)の特徴
患者様の負担を抑え、安全に採取。専門施設で質の高い幹細胞を培養。
幹細胞点滴治療を安全に行い、より高い効果が得られるよう、細心の注意を払い治療を進めます。患者様にはまず検診を受けていただき、健康状態を確認。治療に向けて障害の程度を評価し、それに対応したリハビリメニューの計画も予め立てておきます。骨髄液や脂肪組織の採取に際しては感染症対策を徹底するほか、万一の事態にも対応可能な態勢で臨みます。培養は医薬品医療機器総合機構の許可を受けた細胞培養加工施設にて、高度な機器が揃った環境で、専門の技術によって行われます。
安全性
当クリニックでは、厳格な品質管理のもとで、環境や作業者由来の微生物の混入リスクを低減し、高い細胞品質の保持と安全性を守っています。また、体性幹細胞は安全面・倫理面、どちらもクリアしており、なおかつ30年以上にわたり臨床で使用されてきた実績があります。
リスクと副作用
幹細胞治療は、多くの場合は針を刺して注入するため、穿刺時の痛みや血管損傷に伴う内出血、神経損傷に伴うしびれ、局所感染などの副作用が考えられます。基本的に自分自身から採取した幹細胞を用いているため、アレルギー反応や免疫拒絶反応は生じにくい治療法です。現在まで大きな副作用は報告されていませんが、長期的データはまだ揃っていないため、長期的予後については今後の知見が待たれるところです。
期待できる効果
間葉系幹細胞治療は、元の状態に戻るまで機能回復効果が期待できるものではありません。しかし、治療を始めるのが早いほど良い結果が出やすい傾向があります。治療を受けるか迷われている方は、早めにご相談ください。治療内容や期待できる効果など患者様に寄り添ったサポートをいたします。
改善が期待できる機能
- 運動障害の改善
- 感情や行動の改善
- 痺れ、痛みの改善
- 失語症・言語障害の改善
- 視覚障害の改善
幹細胞治療プロセス
骨髄幹細胞は部分麻酔にて骨盤に穿刺して採取し、脂肪幹細胞は腹部や太腿から脂肪組織を採取します。幹細胞の培養は細胞培養加工施設で行い、期間は個人差がありますが、およそ4~8週間が目安です。幹細胞の点滴には1回につき約30分ほどかかります。
再生医療リハビリテーションでは、点滴を投与しながらリハビリを実施し、点滴終了後も30分間実施し、合計で約1時間のリハビリを行います。
01.
検診
血液検査・感染症検査など
02.
骨髄穿刺・脂肪組織採取
骨髄液・脂肪組織の採取
03.
抽出
骨髄液・脂肪組織から組織由来幹細胞を抽出
04.
細胞培養
培養センターにて幹細胞の培養
05.
安全性検査
培養された幹細胞の安全性及び性能を厳密にチェック
06.
点滴
幹細胞の点滴投与
同時リハビリと組み合わせるとより高い効果が見込まれます
タイミングや種類、順番にこだわり、効果的なリハビリ量を提供しています。